婚約指輪のなれのはて

婚約指輪も結婚指輪も、みんな、妊娠とともに亡くなった話。

結婚して、婚約指輪と結婚指輪の両方をいつもしていたのであるが、1人目の子供ができて5か月ぐらいたったところで、家内が指輪が外れないといってきた。

見ると指輪は大きくなった指の間で、苦しそうに挟まっていた。

石鹸をつけたり、あぶらをつけたりして取ろうと試みたが、一向に取れる気配がない。

仕方なく当分そのままにしていたが、指が以前より太くなって、余計にくるしそうである。

要は、にんしんして、自分も太ってしまい、指輪が離れなくなったのである。

せっかくの思い出の指輪ではあるが、ふん人納得のうえ、金物のこぎりで、指輪を切ることにした。

そうしないともう血液さえも通り辛くなっていたのである。

指輪はなくなっても、結婚の証は子供であるからと、夫婦で納得して、せつだんした。

あれ以来、夫婦には、結婚指輪も婚約指輪もないが、今日まで、何事もなく、2人の子供に恵まれて、暮らしている。

なによりである。